5球スーパ真空管ラジオの製作
少年の日のリベンジ

      2020/03/05

vacuum tube radio

動機
 先日ヤフオクを眺めていたら、古い真空管ラジオの出品コーナに目が留まり、いろいろと関連のページをたどっていくと、195*年のZENITH社(米国)の真空管ラジオがありました。整備品なので完全なオリジナルではありませんが十分にアンティークな雰囲気を醸し出していました。なにより、生産年度が私の生まれ年と同じであることに愛着を感じ、取りあえずと思って終了30分前に入札してみたらそのまま落札してしまいました。
届いたラジオは中波のみですが完動品で主だった局が感度良く受かります。さっそくむささび工房の備品となり窓際の棚に収まりました。

vacuum tube radio

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 もともとラジオの深夜放送を聴くのが好きで、学生時代はもっぱらTBSラジオのパックインミュージックで、特に小島一慶さんをはじめ野沢那智さんと白石冬美さんの掛け合いも楽しかったし、大村麻梨子さん(まりこアラカルトだったかな)の艶のある声にはしびれていました。就職して仕事が忙しくなるとさすがに深夜放送からは離れてしまいましたが、ここ10年ほどはむささび工房で夜なべをすることも多くなり、またラジオのお世話になっています。でも番組は、歳並みでしょうかNHKのラジオ深夜便ばかり聴いています。NHKは12時を過ぎるとアナウンサー(アンカー)のしゃべる速度がゆっくりになります。あきらかに年配者を対象としているようでとても聞きやすいです。昭和の歌謡曲が良く流されます。同年代のアンカーが多いせいかいろいろな意識を共有しているような思いがして落ち着いて聴いていられます。
というわけで、ZENITHの真空管ラジオで深夜放送を楽しむ日々が始まったのですが、ちょっと苦い記憶と言うか頭の片隅に忘れずに残っていた小石を思い出すことになりました。

苦い思い出
 小学校の5年か6年生の頃、真空管ラジオのキットに挑戦したことがあります。当時は既にトランジスターの時代ですが、真空管ラジオのキットはまだ沢山出回っていてラジオ少年の登竜門だったのでしょう。5球スーパラジオ(スーパーヘテロダイン受信(super heterodyne receiver)ラジオ)のキットです。ところが、まだ回路図も十分に理解できなかったし、半田付けも下手だったのでしょう、完成したラジオからは音は出ませんでした。自分ではどうしようもなく、近くの電気屋さんに飛び込み、そこのお兄さんに頼み込んでどうにか音が出るようにしてもらいました。かなり作り直したような跡がありました。テスターもない子供の無謀な挑戦はあえなくノックダウンしたというわけです。私はその後アマチュア無線の方に移り、いくつかのリグも自作してきましたが、それでも少年の日に5球スーパラジオを鳴らせなかったという記憶は小さな口惜しさとして残りました。
入手したZENITHの真空管ラジオには、出品者が親切に回路図を添付しておいてくれました。なんとそれが典型的な5球スーパの回路図でした。そして今ならば概略理解できるのです。ムラムラと少年の日のリベンジをしたくなり、5球スーパラジオを作ろうと思い立ちました。といっても今の時代秋葉原を歩き回って、ただでさえ入手が難しくなっている真空管ラジオの部品を集め周るのも大変です。やっぱりキットで行こうといろいろとネットで探し回りましたが簡単には見つかりませんでした。そんななか、北海道のアマチュア無線家有志で運営している“ラジオ少年”というNPO法人の存在に行きつき、そこでいろいろな種類の真空管ラジオのキットが頒布されていました。さっそく、5球スーパラジオのキットを注文しました。

製作記
 届いた箱の中には、穴あけの済んだアルミシャーシーに加えてトランス類、真空管とそのソケット、真空管用BC帯局部発振コイル(OSCコイル)、調整済みの真空管中間周波トランス(IFT)、抵抗とコンデンサ類、最近はあまり見かけないエアバリコン、バーアンテナ、それにスピーカーからビス・ナット類、ラグ板など、さらに説明書など、これですべてと思えるものがそろっていました。ラジオ少年の絵がなんともノスタルジックに少年の日々を思い出させます。

慌てて手を付けてはいけない、丁寧に作ろうと自分に言い聞かせてはいたものの、箱を開けてしまったら、心は半世紀以上前のラジオ少年に戻っていました。
部品類の確認を済ませて、早速回路図と部品の確認から始めました。抵抗やコンデンサの値の読み方もすっかり忘れてしまったので、インターネットから資料を印刷し、一つ一つ確認しながらの作業です。

 久しぶりの空中線配線です。実態配線図も付いていましたが、せっかく楽しむのなら回路図を追いながら配線することにしました。
まずは、トランス、バリコン、真空管ソケット、IFT、スピーカ-端子などシャーシーの所定の場所に取り付けます。バーアンテナは、作業中に折るのが怖いので最後に取り付けることとします。トランスのビス穴の位置が少し合わないところもあり手直しします。

配線は、アースから始めます。シャーシーそのものがアースですからなくても配線は進められますが、確実に電位ゼロを確保するためにトランスから直接アース線を張っておきます。ついでに、トランスから各真空管のヒーターへの配線をしておきます。

次に整流回路の配線です。最近はここには半導体を使ってコストを下げたキットがあるようですが、このキットは昔ながらの整流管を使った全波整流回路です。整流回路周りの配線が完了したら、各真空管の高電圧側の配線を行います。整流管を挿して、各部に所定の電圧が出ているかチェックします。

いよいよ抵抗とコンデンサ類の取り付けです。空中線配線は久しぶりだったので少し手間取りました。部品が昔に比べてずいぶんと小型になっているのでなんだか頼りない仕上がりです。最後に局発(受信波を455kHzに落とすための混合用の周波数を発信する回路)を完成させて、バーアンテナもシャーシーに取り付けます。

全ての配線が終わり、再度入念に確認をします。確認後、真空管を挿して、スイッチONです。オシレータ-が無いので、調整なしの一発勝負です。夜中の工房に5本の真空管がほんのりと赤くなりました。

と、ここまでは順調だったのですが、ボリュームを上げバリコンを回しても、スピーカーはうんともすんとも言いません。ガリガリとかブーンと言うならまだしも、なんにも音がしません。ということは、問題は低周波増幅周りだなっと推測し、もう一度各部の電圧チェックをしましたが、正常です。なんども見直しているのですが、もう一度は配線をチェック。ありました。検波段の真空管のカソードが接地されずに浮いたままになっっていました。

早速、カソードの端子をセンターピンを介してアースに接続しました。

vacuum tube radio

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さて、気を入れ直して、電源スイッチをいれました。30秒ほどしてバリコンを少し回すと、NHK第一放送が元気よく入ってきました。ちょっと感激です。少年の日にこの感激を味わえなかったことが悔やまれますが、ささやかなリベンジはできました。

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あとは、バーアンテナのコイルの位置、OSC(局発のコイル)、IFTのコアの調整を音を頼りに繰り返し行い完成です。NHK第1(594kHz)からラジオ日本(1422kHz)の先まで感度良く受信できました。スピーカーがまる出しなので、音がキンキンしていますが、ちゃんとした箱に入れれば落ち着いた音になるでしょう。さて今度は箱作りです。どうしようかな。

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