ネットワーク・オーディオ事始め
Part Ⅰ CDリッピングとミュージックサーバ
イントロ 動機
5年ほど前から昔のLPを聞き始め、それと共に我が家のオーディオシステムを少しずつ更新してきました。更新と言うと大げさです。例えば、アンプを最近流行りの真空管方式にしてみたり、セレクターを導入して複数のアンプやスピーカーを切り替えてその組合せを楽しめるようにしたり、という程度です。ソースはCDとレコードが中心です。そんな状況だったので、ネットワーク・オーディオにはあまり興味がありませんでした。世の中、ハイレゾとかネットワーク・オーディオとか音楽配信とか、なんでもイッショクタにして話が進んでいるようで、本当のところは難しくて付いていけなくなっているというところです。
そんな中で、読んでいるオーディオ誌から「CDリッピング」という言葉が目に飛び込んできました。CDの複製を意味する「CDコピー」に対して、音源として必要な情報のみをコンピュータ処理の可能な形式で抜き取るのが「CDリッピング」だそうです。ということで、「リッピングしてノートPCに入れてアンプの傍に置いておけば、CDに触らないで済むのだなぁ」と言う程度の理解でCDリッピングに取り組むこととしました。間違った理解でではなかったと思うのですが、ネットワーク・オーディオとしての理解には全く至っていなかったですね。この点は作業が進む中で理解が進んできました。
先ず、我が家のCDを方々からかき集めました。これがすべてデータ化されて、普段は目の前に置いておかなくても良いとなるとオーディオシステムの環境がずいぶんとスッキリします。妻からも褒められるだろうと考えてやる気がでてきました。
CDは約130枚あまりありました。愛好家からすればそんなに多い方ではないと思いますが、狭い我が家では結構邪魔な存在です。
CDリッピング
リッピング用いたソフトは、dBpowerampというソフトの中のCDripperをを使うことにしました。アマゾンで有料版があります。最新版を使いたかったので有料版をインストールしました。リッピングを始めて感激したのは,なんと、CDのタイトルや各トラック情報、アーティスト名、そしてCDのタイトル用写真などをインターネット上から自動的に探してきてくれることです。
必ず情報が見つかるわけではないのですが、私の場合はおおよそ8割の確率で情報が拾えました。また。CDripperは主だった4つぐらいのサイト(上記の右の図)から情報を拾ってくるようです。拾えなかった場合は、CDのタイトルを使って自分でネット検索するとCDの紹介や販売サイトでトラック情報や写真を手に入れることができるので、あとはドラッグ&ドロップの作業だけで取り込めることも多くありました。
保存するファイル形式をどうするかは悩ましいところですが、私は非圧縮で原データを保存できるFLACという形式と、圧縮でデータ量を小さくできるmp3の2つの形式でリッピングしました。FLAC は付帯情報の扱い方が標準的で汎用性が高いようです。mp3はデータ量が小さい割には十分に良い音なので利用範囲も広いかと思います。CD1枚当たり約15分から30分の作業でリッピングできました。集めたすべてのCDをリッピングするのに1か月ほどかかりました。
ストレージ
リッピングしたファイルを取りあえずPCにため込みながら、いろいろと調べていると、NAS(Network Attached Storage、要するにLAN上に置いた共通に使える大容量メモリー)に入れておけばPCをアンプの傍らに置かなくてもよいし、スマホをリモコン代わりにして曲を選択できることがわかりました。そして、そのNASにも音楽ファイル専用のミュージック・サーバーと呼ばれるものが存在するということを知りました。ところがそれをいろいろと探してみると、とてつもなく高価で手が出ません。30万円~50万円の機種がザラで超高額機器です。どうしてたかが音楽ファイルを入れておくストレージがそんなに高いんだと不思議(懐疑的)に思いました。私は職業柄(既に引退していますが)デジタルデータの原理や特性についてはある程度精通しているつもりです。DAC(AD/DA変換)とその周辺のアナログ回路は大変重要で音質に大きな影響を与えることは良くわかりますが、デジタル化された音楽ファイルをしまっておくストレージや伝送(転送)媒体はビット誤りが十分に低ければよいので、現在の技術ではそれぞれ汎用品で十分でしょう。家庭用のNASも汎用品のHDDを使って数千円からせいぜい数万円で沢山の機種が売られています。よく調べると高額なミュージックサーバの多くはこれらのNASに無用に高価なDACやアナログ回路とソフトウェアーをくっつけて値を上げている商品が多いようです。オーディオの世界には、価格に応じて音が良くなる という考え方が根強くあります。多分、オーディオメーカが作り上げた都市伝説でしょう。
ストレージはストレージに徹して作れば安くできるはずなのになぁ と怒りに似た不満をもって調べていたら、有りました。IO DATAというPC周辺機器の専門メーカーから、2TBで3万円程度のネットワークオーディオサーバSoundgenic HDL-RA2HF(以下Soundgenic)という商品が出ていました。これでも高いのですが、DACへのUSB接続やPCレスのCDリッピング機能など、そして何よりも標準化されたネットワークオーディオ対応のソフトがインストールされているので納得できます。さすがストレージ商品の専門メーカですね。グッジョブ! とつぶやきながら早速ポチって購入しました。
ネット検索で下記のようなネットワークオーディオ構成をあらわす概念図を見つけました。
この図を見て初めてネットワークオーディオという考え方を正確に知ったような気がしました。
・サーバは音楽ファイルの入っているストレージです。
・プレーヤ-はレンダラーとも呼ばれ、サーバから送られてくるディジタル信号をDA変換しアンプ等を経由してヘッドホンやスピーカを鳴らします。
・コントローラはサーバ内の音楽ファイルを選択し、どの曲をプレーヤへ送るかを制御します。多くの場合WiFiやBluetooth機能を持つスマホやタブレット上のアプリで構成されます。
この3要素がネットワークで結ばれている(同じLAN上に置かれている)ということです。
さて、サーバはSoundgenicで、コントローラにはiPhoneとandroidのタブを使えますが、プレーヤをどうしようかということで悩みました。我が家には既にTEACのUSB DACがあるのですがネットワーク機能は付いていません。ネットワークプレーヤーとかネットワークCDと呼ばれる機器を新たに購入しなければならないのかと悩んでいたところ、Soundgenic の説明書をよく読むと、USB DACへUSBケーブルで直接接続できるので、SoundgenicのWiFi機能で仮想的にTEACのUSB DACをプレーヤに見做すことができることがわかりました。Soundgenicの説明書では下記のような接続になります。
実際にはUSB DACがレンダラーになるのでSoundgenicからLANを介さずに直接音楽データが送られることになりますが、コントローラから見た制御では、Soundgenic(USB DAC)というイメージでレンダラーを指定しすることになります。
というところまで理解して、リッピングした音楽ファイルをすべてSoundgenicに入れました。
コントローラ
ネットワークオーディオ構成トライアングルの要素の一つであるコントローラはスマホまたはタブ上のアプリで実現できることがわかりました。それぞれ定番のアプリがあるようで、私は、先ずiPhoneにはFidataを、andoroidタブにはBubbleUPnPをインストールしました。どちらもApple Store やPlayStoreなどで無料でダウンロードしてインストールできました。操作は簡単で、サーバにSoundgenic(ネットワーク上の名前は、RA-A24A66[Soundgenic])を設定し、レンダラーにSoundgenic(USB DAC)を(ネットワーク上の名前はSoundgenic[TEAC UD-301]を)設定します。TEAC UD-301は使っているTEACのUSB DACのことです。
以上で、我が家にもネットワークオーディオの最小単位が構成でき、スマホをリモコン代わりに使って、サーバに収容したすべての音楽ファイルを自由に選択して聴くことができるようになりました。この操作感は想像をはるかに超えていて、チョー快適です。もうCDには戻れないなぁ というところです。と言いながらも、たまにはレコード盤に針を落として真空管の灯りを眺めながらゆったりと珈琲を飲む という昭和のピュアーオーディオマニアの気持ちも忘れていません。
ロシアン・ブルー
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