襲い来る怪物に抗って
―アマチュア無線の再開―
また、長話になりそうですが・・・
思い出話と反省
たしか30歳代前半の頃かと思います。「子供の頃無心に興味を持ったことは大人になっても無心に続けられるのですよ。」とラジオから聞こえてきた趣味論に従って木工作を始めました。その通り、木工作は長続きし生涯の趣味となりつつあります。それでも、このブログのあいさつ欄(ようこそ)に吐露したように、歳と共にものぐさ病が出てきます。これの怖いところは、単にものぐさになるのではなく、本来好きだったことにもワクワク感、ウキウキ感を忘れてしまうことです。そんな得体の知れない怪物が老いとともにだれにでも襲い掛かってくるのではないでしょうか。
そう言えば最近そんな気配を感じかなぁ、と思うこともあり反省しているところです。このブログを2017年の年末に始めたのもその怪物対策だったはずなのに、ここのところ記事が伸び悩んでいます。趣味のことですから、本来、自然体で気負わずに取り組むのが一番よいのですが、この怪物と戦うには時にカンフル剤を打った方が良いのかなぁと考えて、少年時代に無心に取り組んだことをもう一つ思い出しました。それがアマチュア無線(いわゆるハム)です。
回想
いわゆるラジオ少年(今では死語ですね)が高じて高校1年の夏にアマチュア無線従事者免許を取得し開局しました。3年間ほどは楽しく、それこそウキウキ、ワクワクしながら続けていましたが、アマチュア無線によくあるTVI(テレビに妨害電波を出してしまうこと)でご近所に迷惑をかけ、その対策に悩まされました。当時のテレビはもちろんアナログ全盛でしたし作りも上等とは言えないものが多かったので、必ずしもこちら(送信側)だけの原因ではなかったろうと思いますが、まだ知識も浅く経済力もなく、なにしろ気の弱かった少年(今でも?)は、対策を十分にできないままにフェードアウトしてしまいました。
そのまま終わってしまったアマチュア無線ですが、局の免許の更新は続けてきましたので識別符号(コールサイン)は同じものを今でも使える状況です。結婚してすぐに二人で楽しもうと思い妻にも無理やり免許を取らせました(当時はまだ素直なもんでしたね)。簡単なトランシーバーを使ってしばらく遊んでいた時期があります。それはそれで楽しかったのですが、仕事や子育てに忙しい時期でこれも長続きしませんでした。
そして今回
そんなことを思い出しながら、怪物対策のカンフル剤としてアマチュア無線局の再開を思いつきました。早速、最新のトランシーバーと簡単なアンテナを購入しました。今回は大人買いです。昔のように半田ゴテをもって送受信機を作る気力はありませんし、最近のトランシーバーにかなうものはとても作れません。なにしろ購入した装置は機能満載で、HF帯からVHF帯まで、各種変調方式、は勿論のこと、便利な機能が沢山付いています。とても簡単には使いこなせませんが、老眼鏡をかけてマニュアルを必死にめくっています。ファンクションはコンピューター制御なので、機能が階層化されていて覚えるのに一苦労(すぐに忘れます)です。アンテナもにわか仕立てで、むささび工房の入り口にスチールパイプを立ててその先に簡単なグランドプレーンアンテナを取り付けました。周囲の民家よりも低いので交信ができるかどうか心配でした。それでもワクワク感を十分に味わうことはできました。8月初旬、再開後最初にCQを出して交信した時には半世紀近く前の少年時代の興奮を思い出しました。
この怪物対策にはそれだけでなく、次のようないくつかの効用、そして不都合な問題もあることに気づきました。
先ず効用
- コロナ禍に友人と会って話す機会も少なくなり、妻からは活舌が悪いよと言われるようになっていました。アマチュア無線で初めての方と会話をするということは、聞き取りやすく話そうと努力するので、活舌を維持するには大変良い趣味だと思います。
- 言うまでもなく電波で感染するはずもなくコロナ禍では極めて安全な趣味です。
- すっかり忘れてしまったモールスを覚え直そうと訓練を始めましたが、これが素晴らしい脳トレであることに気づきました。
- しばらくぶりに始めてみるとふつふつとライセンスのランクアップに目覚めて、前向きに準備をするようになりました(勉強を始めましたがどうなることか・・・)。
- 交信者と交換するQSLカードのデザインに写真の趣味が生かせそうです。
不都合な問題
- アンテナは高さが勝負ですが、危なくて植木の選定もためらっているように、高いところ(例えば屋根)には上れない。どうしましょう。
- 始めてみたら、私のように高齢者の再開局が大変多くいることに驚きました。それはいいのですが、平日でも夜中でも交信できるので、生活のリズムに良い影響はないようです。
と、いろいろありますが、とにかく始めました。焦らず諦めずやっていきます。