バンドソー・ボックス Cube
Part Ⅰ 構想とバンドソーの調整

      2019/08/28

bandsaw box cube

 バンドソー・ボックス(Bandsaw box)というジャンルに定かな定義があるかどうかよく知りませんが、名前からすれば、バンドソーを使って、あるいはバンドソーだけを使って作る木箱(多くの場合、引き出し形式の箱)ということだろうと思います。でも、バンドソーだけではいくらなんでも無理です。当然、接着剤も使うし、クランプやヤスリ、場合によってはドリルぐらいないとできない細工もあります。木を切るためにはバンドソーのみを使うこと と言うこともできそうです。ここではひとまず、主にバンドソーを使い、その特徴を生かして作る木箱 とでもしておきましょう。YouTubeを見ていると世界中のwood worker がいろいろな作品を載せています。私も The Moon という作品とその作り方を載せて、結構人気がでたことがあります。
前置きが長くなりましたが、ひと月ほど前から考えていたバンドソー・ボックスの構想を紹介します。
先ず、形は正六面体、いわゆるサイコロ状の正立方体です。前出の The Moon は丸いお月さま風の形がモチーフだったので、今度はサイコロ型で、名前を”The Cube”とします。

bandsaw box cube

bandsaw box cube

写真のように4つの側面に引き出しがあります。引き出しが各側面に4つずつ見えますが、これは実現できません。各側面に1つずつ引き出しを付けています。その他は前板だけのダミーです。4つの引き出しが立方体の中で干渉しないように動き、かつバンドソーで切り出した時に立方体の構造が壊れないことが必要です。これならちょっと工夫すればできるというところがミソです。
引き出しをバンドソー・ボックスの典型的な手順(バンドソーを使ったくり抜き)で作ろうとすると、前板や後板の切り出しの順番が問題になります。ダミーの引き出しの前板も作らなければならないのと、その面が4つあるということでちょっと複雑になります。頭の中でシミュレーションしながら考えた手順を図にしてみました。

bandsaw box cube

bandsaw box cube

動画のstep 1からstep14まで、この手順に従って進めれば、各側面、2回の切断と2回の接着で、引き出し部分のくり抜きと後板の戻しが実行できると思います。言い方に今一つ自信が無いのは、立方体に4面からくり抜きを行うので、どこかに勘違いがあると真っ二つに分かれたり、強度が足りない作りになってしまうからです。頭の中のシミュレーションでは問題ないはずですが・・・。

 ここまで構想を建てたら、あとは作りながら現物合わせで工作を進めるのがいつものやり方です。だから、私の作品にはいつもしっかりした設計図が残っていません。チョー適当ですが、世の中の同好の士もYouTubeを見る限りでは同じような姿勢が多いですね。工業製品を作っているわけではなく、工作の過程そのものを楽しんでいるのですからそれで良いと思います。まぁ、気が向いたら制作過程をYouTubeにアップして、設計図代わりにささやかな痕跡(記録)を残すということでしょうか。
とりあえず、いつでも工作に取り掛かれるように、正立方体のブロックを作っておくことにしました。これが結構面倒なんです。分厚い無垢材は高価なので、私はいつも安い杉板を入手して重ねあわせてブロックを作ります。

 

これをバンドソーで正立方体に仕上げます。この時、バンドソーの調整がしっかりとされていないと各面の直角が出せずに何度も切り直しをして、なにをやっているのかわからなくなり、しまいにはブロックが際限なく小さくなってしまいます。
重要なバンドソーの調整は、次の2つです。
(1)ブレードとテーブル(作業台)の直角がしっかり出ていること
(2)面の切断(挽き割り)の精度が十分に高いこと
(1)は、まず、作業台テーブルの取り付け角度を入念に調整します。テーブルが大変重いので支えるボルトと締め具もしっかりと締めます。最終的にはなんども試し切りをして直角がでるよう微調整を繰り返します。

(2)はいわゆるドリフトの調整です。ブレードは最も抵抗の少ない方向に進んで切れていきます。したがって、特にアサリの作りに非対称な状況がなければ、基本、刃の面に平行に進みます。問題はこの刃の面が必ずしもマイタ―ゲージ(切削する木を支える平行定規)に並行ではなく微妙にずれることがあることです。ブレードは、上下の2つのホイールの間に張られて回転しますが、このホイールとブレードの当たる面が少し凸面になっているので、当たる位置によって刃の面の角度も変化します。また、長いあいだブレードを使っているとどうしてもアサリの対称性も崩れてくるので抵抗の少ない方向も変化してきます。その結果いつものように真っすぐに材を押していても、刃が少しずつ進行方向からずれる現象が現れます。これがドリフトです。このドリフトを抑えておかないとバンドソーの利用価値が半減(どころか使いたくなくなって)します。
私の使っているバンドソー(KERV DF-14)はドリフト調整機構が付いているので、テーブルを回転させて比較的に簡単に調整できます。

ただし、調整できるということと精度が出るということは違います。挽き割りの精度はブレードの幅が大きいほど安定して追い込みやすいようです。私は、Timber Wolf というスウェーデン生まれの会社ののブレードを使っています。この12.7mm幅のブレードを使うと精度を十分に追い込むことが可能で、1mm厚以下の挽き割りも簡単にできます。でもこれでは箱作りの曲線を切るのは難しくなります。挽き割り時と曲線切り(引き出しのくりぬき時など)でブレードを交換すればよいのですが、これは結構面倒なので、結局6mm幅のブレードで妥協しています。ゆっくりと注意深く切り進めば、定規で引いた平行線から刃が外れない程度にドリフトを抑えられるし、曲線切りもR10mm程度なら可能です。もう少し工房が広くてバンドソーを2台置ければそれぞれに適したブレードを付けておけるのになぁ、なんて夢のようなことを考えています。

ということで、調整のしっかりされたバンドソーを使えば、昇降版がなくても正立方体を手順良く切り出すことが可能です。

bandsaw box cube

bandsaw box cube

さて、このブロックから構想通りのバンドソー・ボックス ”The Cube” が作り出せるでしょうか。木の塊を見ているだけでワクワクしてきます。作業が楽しみです。近いうちに報告します。

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